ほんとうの可愛げ    庭野日敬  (1998年、平成10年)

 「女性は可愛げがいちばん」などと言うと、女性から(さか)ネジを食わされそうですが、関西大学名誉教授で評論家の谷沢永一(たにざわえいいち)さんは、才能や智恵や努力のすべてをひっくるめても可愛げにはかなわない、と言われます。

 可愛げというと男性に()びることのように考える人がいるかも知れませんが、可愛げとは女性にだけに求められるものではなく、素直さのことといってもいいのではないかと思うのです。

 たとえば無我の境地というと、現実を超越してしまうことのように考えがちですが、無我とは、むしろ、自分をなくして現実をあるがままに受け入れ、現実に添うことです。

 自分の考えに固執(こしゅう)するかたくなさを取り払ってこそ、現実を自分の願いのほうに導くことができます。

 可愛げも同じで、人におもねたり迎合(げいごう)したりすることでなくて、人の心に添えるようになることだといってもいいでしょう。

 それは、たとえば一家のまとめ役の主婦にしても、組織の(かなめ)の長にしても、欠いてはならないものではないでしょうか。みんなを(たば)ねる長とは、みんなの力を借りて事を成し遂げる役なのですから。
人生の応援歌

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