引き(しお)で自分を知る    庭野日敬  (1998年、平成10年)

 会社の繁栄も国の繁栄も、(のぼ)りがあれば(くだ)りもあります。

 私のこれまでの九十年余の人生を振り返ってみても、いつの時代もそれぞれに大変さを抱えていました。そして、満ち潮に乗っているときよりも、むしろ引き潮のときに大事なことを学ぶことができた気がするのです。

 調子よく仕事が運んでいるときは、つい自分の力を過信しがちです。それが引き潮になると、自分を見つめ直さずにいられなくなります。会社の名前や肩書きでなく、自分自身の実力を蓄える大切さを思い知り、自分の人生でいちばん大事なものは何だったのか、じっくりと考え直さずにいられなくなります。そして、これまで自分を支えてくれていたさまざまな存在、とりわけ家族や仲間のありがたさに気づかされるのです。

 いま、企業も国も厳しい環境におかれていますが、ここでいちばん大事なのは、みんなの心がバラバラになるのを防ぐことです。「共に汗を流せば共感が得られる」をモットーにしているという学校の話を聞いたことがありますが、心を一つにして行動することによって、互いの信頼が生まれます。信頼で心がつながっていれば、外からの力で揺らぐものではないのです。
人生の応援歌

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