慈眼(じげん)を具える  庭野日敬  (1993年、平成5年)

 お釈迦様がご在世当時のインドに、コーサラ国という大国がありました。その国の王様が、あるとき、「私がつらつら考えてみるのに、どう考えても自分より(いと)しいものはない。そなたはどうか」とお(きさき)に尋ねたのですが、お妃も、考えてみるとやはり自分がいちばん愛しい。

 それで、お釈迦さまにおうかがいしてみることにしたのです。
その王と王妃に対して、お釈迦さまは、

「自分がいちばん愛しいと知ったら、人もまた自分がいちばん愛しいとわかるはず。

 だから、人を害してはならない。」

と教えられたのでした。

 わたしたちはふだん、自分の立場からしかものごとを見られないのですが、そこで一度踏みとどまって、相手の立場に立ってみる。相手の立場に立って考えてみる。
 すると、同じことが、まるで違って見えてきます。目からウロコが落ちたように、相手の心、ものごとの本当の姿が見えてくるのですね。

 人様の立場に身を置き換えて見直すことができるようになることが、「慈眼」を具えることだといってもいいと思うのです。
人生の応援歌

お話の一覧をフレームで見る
  





















SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送