一日の重さ   庭野日敬  (1992年、平成4年)

 映画評論家の淀川長治(よどがわながはる)さんは、毎朝、目を覚ますと「今日は平成四年一月十日、私の一生で、地球の歴史の中で一日しかない日だ。だから、ニコニコしていよう。」と口に出して唱えられるのだと、新聞のコラムに紹介されていました。

 今日しか会えない人だと思ったら、仏頂面(ぶっちょうずら)はしていられません。今日しかできない仕事だと思えば、いいかげんにはできません。

 「人生別離に足る」という漢詩の一節を、「『サヨナラ』ダケガ人生ダ」と作家の井伏鱒二(いぶせますじ)さんが名訳されていますが、今日のこの一日とは今日でお別れしなければなりません。それが「諸行無常(しょぎょうむじょう)」です。だからこそ、そのかけがえのない一日を最高に生きようという積極的な生き方が、法華経の生き方だといってもいいでしょう。

 一年の出発にあたって、お互いさまに今日という一日の大切さを、かみしめ直そうではありませんか。

 私は八十五年という年月を生きてきて、一年ごとに、一日ごとに、ますますその重さを思い知らされるのです。
人生の応援歌

お話の一覧をフレームで見る
  





































SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送